1話:ポケモン世界へようこそ!

一緒に救助隊やらない?
皆が安心して暮らせる世の中にする為にね!


昔思えばそんな事は無理な事だと思っていたんだ
だが、何故かそれを真に受けた俺が居たんだ

何でだろうな?





    2話:救助隊結成!-小さな森-

風で木の葉を舞う自然溢れる静かな森
そこに聞こえてきたのは・・・静かな森には似合わない女性の悲鳴だった
俺達は今、その悲鳴があった場所に向かっている

イブ「もしかしたらあの地震と関わりがあるかもよ!
   急ごう、チー!」
チー「ちょ・・・待ってくれぇ・・・
    元々2本足で走っていた挙句、まだ体が慣れていないのに急げって結構無茶な要求だぞ;」

そんなやり取りしながら走ると先に一匹のポケモンがうろうろしていた
あれは確か【バタフリー】だったかな?
でも明らかに様子がおかしい

イブ「あ、あの!
   何があったんですか?」
バタフリー「ああ・・・ポケモンが居て良かった・・・・・私の息子を助けて下さい!」
チー「息子?」
バタフリー「はい・・・
      さっきココで息子と散歩していましたが・・・・・さっきの地震に出来た地割れに巻き込まれて・・・
      私は浮遊してたので無事だったのですが・・・・・・息子が・・・私の【キャタ】ちゃんが・・・」

どうやらこのバタフリーお母さんの子供・・・キャタちゃんが地割れに巻き込まれたらしい
辺りを見ると、バタフリーの後ろに地割れらしきものが見える

イブ「そうなんですか・・・」
バタフリー「はい・・・それで助けに行ったのですが・・・
      さっきの地震でポケモン達が狂ったように暴れて・・・先に進めなかったんです・・・」

確かに、良く見るとバタフリーの体に傷が付いていた

バタフリー「もしかしたらもうキャタちゃんは・・・」

チー「おいおい、そんな縁起悪い事言うなよな
   まだ可能性だってあるんだしよ!」
バタフリー「可能性・・・ですか?」
チー「ああ
   まだ生きてるかもいれないしな」
イブ「うん!だからキャタちゃんは私たちに任せて!」
バタフリー「皆さん・・・・・・有難う御座います!!必ず私の息子を助けて下さい!」
イブ「ええ!チー、行くよ!」
チー「おうよ!」


最初はちょっと戸惑っていたんだ
未知の世界で誰かを助けようとはまず考えられない
もしかしたら危険な目に遭うかもしれない

だけどさ、バタフリーの話を聞くうちにだんだんほっておけなくなったんだ
あんな体張ってまで息子を救っていたんだろ?
それをほっておくなんて出来ないんだ


その思いで俺とイブは森の奥に行った
・・・これが俺達にとって最初の救助活動だった










チー「・・・で、勢いよく助けに来たのは良いが・・・・・・俺、ココの地位分からんぞ?
   イブは知ってるのか?」
イブ「チー・・・・・・
   リンゴって焼くと美味しいの?」

ココは森の奥付近
まぁ、バタフリーと別れて何十分もかかってるから結構進んでいるだろう

・・・・・・そしてこの様子だとイブ様は全く分かっていないであるようです
「ご利用はご計画的に」と某CMが言ってるのと少々似ているであろう
そう、俺達はあんな良い事言っといて、森の中の迷子の子羊になっていた訳だ


チー「・・・後先考えようぜ」
イブ「うう・・・ごめん;」

ガサァ・・・ガサァ・・・

チー「?なんだこの音・・・」
イブ「チー、気を付けて!ココは【小さな森】
   自然災害で気が狂ったポケモン達が沢山いるっていう噂を聞いた事があるよ!」
チー「・・・マジ?;」

気が狂ったポケモンか・・・まさか襲ってくるのか?
俺、プロレス経験10年だぞ?舐めてんの?

??「ギャッシャアアアアアア!!」
イブ「あ!あれはケムッソ!!」
ケムッソ「シャアァァァァァ・・・」
チー「・・・おいおい、こんな芋虫程度で驚くなよイブ
   こんなの俺の拳で・・・」

ケムッソ「シャァァ!!」

ガン!!
ケムッソの体当りがチーの体に直撃した!

チー「くぁ・・・!」

ゴメン、プロレス経験10年は嘘
ましてや経験半年の人でも多分KOされる弱者なんだ・・・

体当りされた俺は吹っ飛び、そのまま倒れた
なんだよあの芋虫・・・・・・すごく強い・・・・・


イブ「よくもチーを・・・!
   体当り!!」

ガン!
イブの体当りがケムッソに直撃!!しかも急所に当たったようだ!

ケムッソ「ギャァァァァァ・・・」

イブの体当たりでケムッソはそのまま倒れた
う、うそだろ・・・イブつえええあ痛たた・・・
倒れながら腹を抱えているとイブがこっちに近づいてきた

イブ「大丈夫チー・・・?
   ちょっと怖かったけど、ケムッソ倒したから安心して!」

とイブは少々ビビりながらも笑顔で言った
イブ、強いな・・・・・・

その時、イブの背後に倒れた筈のケムッソが尻をイブの方に向かってきた
あれは・・・!!
そう思った瞬間尻から無数の針が飛んできた

チー「危ない!!」


俺は即座にイブの前に出て、無数の針を受け止めた
針は俺の体に刺さって行った

チー「っつあぁ!!」
イブ「チー!!」
チー「痛ってぇ・・・
   ・・・くっそおおおおおおお!
   あまり調子のんじゃないぞ糞虫がああ!!」

チーの攻撃がケムッソに直撃!!この攻撃とイブの攻撃でケムッソは勝ち目がないと悟り、逃げだした!


やった・・・か?
イブ「・・・ふぅ、どうやら逃げたみたいだね」

そうか・・・良かった・・・・・・
あ、れ・・・体が急に重くなってきた・・・?
あ・・・・・・意識が・・・・・・

イブ「え・・・チー!?」











-……って結構無理するよね・・・・・・なんでそこまで無理するの?-

「俺はもとから無理する性格なんだよ」

-そう・・・だけどあんまり無理しないでよね・・・?-
-……にもしもの事があったら私は・・・-







・・・なんだ、今のは夢・・・?
ってか体が軽くなってきてる・・・?

イブ「チー・・・!?」
チー「うう・・・あれ?」
イブ「良かったぁ〜!
   いきなり倒れるからびっくりしたよー」

確かあいつの針を食らいまくって倒れたんだっけ
ってかなんか口に甘い感覚が・・・?

イブ「チー、毒に侵されてたからね
   モモンの実を食べさせたんだ」
チー「モモンの実?」
イブ「うん
   ほら、あそこの木がそうだよ」

イブが指差した木にモモみたいな実が実っていた
これがモモンの実か・・・
ゲームでは当然何ともなかったが・・・実際食べるとすんげぇ甘いや

少しモモンの木を眺めていると子供の声が聞こえてきた

??「うう・・・おかあさーん・・・」
イブ「今の声って・・・もしかしてキャタちゃん!?」

そう思ったイブは泣き声がするところに向かった
俺も跡付いてきたら緑色の芋虫が鳴いていた

イブ「ねぇ君、大丈夫?
   私達、君のお母さんの頼みで探してたんだけど・・・」
キャタ「お母さん・・・!?」
イブ「うん
   お母さん心配しているから早くお母さんのところに行こう!」
キャタ「・・・うん!」

どうにかキャタちゃんを救出した俺達はお母さんのところに向かった
どうやらキャタちゃんにケガはなかったらしいな

そして・・・

バタフリー「有難う御座います!
      この子も無事で帰ってきた・・・なんてお礼をしたら良いか・・・」
イブ「わわ、お礼なんていいですよ;
   私達は当たり前のことをしただけですし・・・
   でもケガなくて良かったよ」
バタフリー「あの・・・せめてお名前を」
イブ「私はイブ」
チー「俺はチーだ」
キャタ(・・・カッコイイ・・・)

えっと、なんか憧れの目でこっち見てる・・・
そんなキラッキラな目で見つめると照れるわ;
でもまぁ、こういうのも悪くないな
それに困っている人・・・じゃなくてポケモンを助けてあげるのも気持ちいい

キャタ「有難う!イブさん、チーさん!」
バタフリー「これはほんの少しですが、受け取ってください

そう言って渡してきたのは一つの籠
その中にいろんな木の実が入っていた
そしてバタフリーはもう一度お礼を言ってキャタちゃんと一緒に帰って行った



俺達も森に出ると辺りはもう夕焼けに染まっていた
イブ「それにしてもさっきの攻撃は凄かったよ
   チーって結構強いんだね」
チー「いや・・・俺毒針で倒れたし強いのかな」
イブ「うん、強いよ!」

でも俺よりイブの攻撃の方が強かった気がする
こんなバトル初心者の俺が強い訳がない・・・

イブ「そういえばチーはこれからどうするの?」
チー「これから?そうだなぁ・・・」


・・・・・・・・・・・・


チー「駄目だ、これからどうするか全く考えてないわ・・・」
イブ「・・・ねぇ、もし行く所がないならちょっと付いてきて」

ん?何だろう・・・
そう疑問に思った俺はイブについて行く事にした
そして数分後、目の前に家らしきものが建っていた
ってかポケモンでもこんな家が作れるのか

イブ「ここだよ
   暫くはココに住んでみたらどうかな?」
チー「うん・・・ってええ!?
   良いのか、ココに住んじゃって・・・」
イブ「うん、もともと私の家だったしね
   今は別のところに住んでいるけど」

それにしても・・・なんか嬉しいなぁ
元々人間だったのにこの場所が気にってる
これがポケモンの本能なのかな・・・とにかく凄く嬉しい!

イブ「どうやら気にったみたいだね
   良かったー」
チー「おう、ありがとな!
   にしてもポケモン世界もあまり悪くはないな」
イブ「なんか別の世界に居たような発言だね」
チー「あー、やっぱ俺が人間だってことを信じてないんだな!」
イブ「ハハ・・・
   でもこの世界って本当に良いのかなぁ・・・」
チー「・・・え?」

イブ「チー、何も知ってなさそうだから話すけど・・・
   この最近、いろんな自然災害が多く起きてるんだ
   キャタちゃんが落ちた地割れも例外じゃないのよ    他にも数え切れないほどの自然災害で苦しんでいるポケモンも跡が立たないんだ・・・」
俺は何かしらの衝撃を受けた
こんな良い世界なのに・・・自然災害のせいでそんな雰囲気さえ崩壊している・・・

イブ「私ね、そんな全てのポケモン達を助けたい
   ・・・無理な要望かもしれないけど・・・

   一緒に救助隊やらない?
   皆が安心して暮らせる世の中にする為にね!」


俺はこの世界の事は全く知らない
でも一つ分かった事は・・・この世界は今、緊急事態に陥っていることだ
全てのポケモンを救う・・・そんなの無謀に決まっている
だけど・・・俺はこの世界が好きになった
だから・・・

チー「一応この家を貸した借りもしたいしな・・・
   それに何よりもこの世界が気にった
   俺、救助隊やってみるわ」
イブ「チー・・・!
   これで決まったね!」
チー「ああ
   これからも宜しくな、イブ」
イブ「うん!」

イブ「あ、そうだ
   救助隊の名前、まだ決めてなかったね
   救助隊の名前を決めるのは連盟にとっての暗黙のルールなんだ
   チーはどんな名前が良い?」

連盟って・・・もしかして救助隊ってかなりあったりするのか?;
まぁ、とりあえずそれはおいといて・・・救助隊の名前かぁ・・・

『ポケモンズ』・・・在り来たりの名前だなぁ
『チーズ』・・・俺の名前は当然却下だな・・・ってかそれじゃ食べ物みたいじゃん
『東京連合隊』・・・どう考えても暴走族だよな、これ
『ホ●クラブ』・・・駄目だ、この小説、R-18指定になっちゃうわ

なかなか決められない俺はふと、空を見上げた
空か・・・

チー「決まった
   救助隊名は『sky』だ!
   訳すと『空』だ!」

だが、ココで俺は重大なミスを犯した
どうやらココは日本語通じるけど・・・ココ、英語使えたっけ!?
もし通じないならやばいな・・・絶対何それって言われるぞ・・・

イブ「skyか・・・なんか分からないけどいい名前だね!」

・・・へ?

イブ「んじゃそれに決まりだね!」

・・・どうやら採用されたそうです
イブって結構大胆な性格だったりする・・・?

イブ「今日はもう遅いから帰るね
   明日から一緒に頑張ろうね!」
チー「・・・おう!」


こうして俺とイブの救助隊生活が始まったのだ
そしてこの救助隊の結成が後に世界を揺るがすのだった・・・






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